読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ミッドナイトサイダー

深夜のホテル街のコンビニに車を停め、

ホテルでデリバリーを楽しむ男友達二人の帰りを待つ。

 

コンビニの前で煙草を吸っていると、

目の前に割増と表示されたタクシーが停まる。

 

後部座席から70代くらいの白髪のじじいが降りてくる。

じじいはコンビニに入っていった。

 

タクシーの後部座席にはおなじく70代くらいの奥さんが乗っている。

 

ああ、

この老夫婦は二人でどこかへデートに行った帰りなのだろう。

いいよなこの年でも仲睦まじくて。

 

なんてことを考えながら白い煙を吐き出す。

 

やがてコンビニからホットのお茶と軽食をレジ袋に入れたじじいが出てきた。

 

優しいじじいだな。

 

なんて、タクシーのテールランプに目をやられながら考えていると、

そのタクシーはラブホに入っていった。

 

 

 

 

僕はいてもたってもいられなくて、

近くの牛丼屋さんに入った。

 

別にお腹が空いてるわけじゃない。

 

チーズ豚丼のミニを頼んで、

店内のラジオに聴き入る。

 

 

 

「僕は彼女を呼び出して、受験に成功したら付き合ってほしいと彼女に告げました。

すると彼女は了承してくれました。

しかし受験に失敗していまい、僕が落ち込んでいると、

彼女の方から告白されました。

この曲を聴くとそんな当時の記憶と、彼女の愛しさを思い出します。」

というリクエストをdjが読み上げ、

ワンオクロックのwherever you areが流れる。

 

僕は届いたチーズ豚丼を急いでかっ喰らい、

曲が終わる前に急いで店を出た。

 

 

 

行くあてもないので、

コンビニに戻る。

 

再び煙草に火を点ける。

 

ふとホテル街の路地に目をやると、

手を繋いだ若いカップルがでてきた。

 

カップルの女の方をよくみる。

 

どこか見覚えのある顔だ。

 

はっとした。

 

前の職場でみんなのアイドル的存在のjkだった。

 

僕は不自然なほど腕や手を使って自分の顔がばれないように逃げた。

 

 

 

ホテルの駐車場に戻り、

車の中で男たちの帰りを待つ。

 

スマホにイヤホンを挿し、

目を瞑り音楽に入り浸る。

 

二月の寒い夜。

自販機で買ったサイダーを添えて。

 

youtu.be